第三債務者とは

第三債務者とは、「債務者に対してさらに債務を負う第三者のこと」を言います。このように簡単に述べると分かりにくいので、言葉を丁寧に追っていきましょう。

まず「第三者」という言葉は日常でも使われていると思いますがこれは、特定の事象・案件について「当事者以外」という意味です。くだけた言い方をすると、「直接には関係ない人」となります。

「債務者」とは、ある一定の行為をする義務を持つ者を指します。一方「債権者」とは、その一定の行為を行なうよう要求できる権利を持つ者のことを言います。

これらを借金をしている状況で考えてみましょう。会社員のAさんは、金融機関B社から借金をしています。ここでAさんは、B社に借金を返さなければならない債務者です。B社は、Aさんに借金を返済するよう要求できる債権者となります。ところがAさんは待てど暮らせど一向に借金を返す様子を見せません。B社はやむを得ずAさんの勤務先であるC商事に、Aさんに支払うはずの給与を差し押さえてB社に支払うように要求しました。ここでいうC商事が「第三債務者」となります。

たしかにC商事は、AさんとB社間で行なわれた金銭の貸し借りには直接関わらない「第三者」ですね。しかしC商事は、Aさんからみると、Aさんの労働に対して対価を支払わなければならない債務者でもあるわけです。このことからB社は、C商事を第三債務者として、支払いの請求ができるのです。

法律的に、Aさんの給与が差し押さえられたとき、C商事はAさんに給与を支払うことを禁止されます。実際に差押えられるのは、原則として給与の4分の1までとなっており、残りの4分の3は支払っていいことになります。仮に給与が差し押さえられているにも関わらず全部Aさんに支払ってしまっても、C商事は債権者であるB社から支払いの請求が来たら、給与の4分の1は支払わなくてはならないのです。こうなると、禁止されているにも関わらずAさんに給与を支払ってしまったC商事の責任ですので、B社にも請求通り支払わなければならず、二重払いとなる可能性があります。

この例のように第三債務者という言葉が使われる状況では、従業員の給与が差し押さえられたとき、雇い主が第三債務者として法律上の動向を決めなけらばならない場合があるのです。

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